忌中と年賀状

スポンサーリンク

忌中や喪中の間、年賀状をやりとりはダメ?

喪中(1年以内に身内を亡くした人)や忌中(仏教では49日、神道では50日以内に身内を亡くした人)の人、及びその人に対する年賀状を出さない、という風習があります。「そういうものだ」とは分かっていますが、どうして出してはいけないのでしょうか?

 

まずは年賀状を出す習慣とその意味について考えることにより、どうして「年賀状がいけないのか」を考えてみましょう。

 

 

<そもそも年賀状ってどうして出すの?>

 

年賀状とは、元々は新年の年始回りという、年始の挨拶をする行事があるものの、挨拶が行えないような遠方などの人への年始回りに変わるものとして始まったと言われています。

 

この習慣は、平安時代には貴族や公家の間で始まり、武家社会になると文書による年始挨拶が一般化しました。又、非武家社会においても口頭の代用として簡易書留を用いることが一般的になり、飛脚や使用人を使って年始挨拶の文書が送られるようになったそうです。

 

また、明治維新後(1871年)までは、年賀状は文書で送ることが一般的でしたが、1873年に郵便はがきが発行されるようになると、文書で送るよりも安価な為、はがきで年賀状を送る習慣が一気に広がったそうです。

 

年始回りから文書へ、そしてはがきへ。形は変わっても年賀状は、新年を祝う言葉での挨拶と、旧年中の相手に対する感謝と新しい年も宜しくお願いしますという気持ち、そして親しい相手には自分の近況を報告するなど、の日本人にとって大切な新年のコミュニケーションツールなのです。

 

 

<では、何故年賀状を出してはいけないの?>

 

喪中や忌中の人からは年賀状を出さない習慣は、明治・大正・昭和期に天皇の崩御の際、年賀欠礼を行っていた習慣が元と言われています。

 

 

年賀状は「新年をめでたく迎えられたことを祝う書状」であることを考えると、忌中や喪中である人の場合は「めでたく新年を迎えられなかった」訳であり、年賀状を出すにはふさわしくないことが分かります。

 

よって、忌中や喪中の方は年賀状ではなく、年賀欠礼のはがきを出すことが一般化されたのです。習慣の後ろにある背景が分かると、なるほど、と思いますよね。

 

そういえばよく年賀欠礼は「年賀の挨拶をお断りします」という年賀拒絶の意味と捉える人がいますが、そうではなく、「自分の身内に不幸があり、忌中や喪中の為、年賀の挨拶が出来なくて申し訳ございません」という意味なのです。

 

年賀欠礼は、御挨拶したい相手に対して年賀の御挨拶が出来ない代わりの、事前の思いやりの心。奥ゆかしく、相手を思いやる心がベースになったはがきなのですね。

 

そのような思いやりの気持ちですから、皆さんが年賀状を書き始める前に送付することが大切です。ただ、あまり早く出しても、欠礼はがきを失念してうっかり年賀状を書いてしまう可能性もありますので、年賀欠礼はがきは11月頃の送付が良いとされています。

 

又、忌中・喪中の際、年賀欠礼のはがきを送り忘れ、事情を知らず年賀状が来てしまった場合は、「年賀状」や「年賀欠礼」ではなく、「寒中見舞い」というはがきで返事をすると良いでしょう。

 

たかがはがき、されどはがき。相手を思いやる心と亡くなった方を悼む気持ちの籠った欠礼はがき。是非喪中・忌中の際は年賀状の代わりに「年賀欠礼」のはがきを出すようにしましょうね。


スポンサーリンク