忌中や喪中に飲み会に参加してもいいの?
日本では、喪中(1年以内に身内を亡くした人)や忌中(仏教では49日、神道では50日以内に身内を亡くした人)は「祝い事や派手なことを避ける」という風習があります。
でも、忌中はともかく、喪中は1年と長い訳ですから、気分転換に飲み会に参加してもいいような気がします。それって非常識なことなのでしょうか?まずは飲み会や宴会について考えてみましょう。
<飲み会や宴会は何のため?>
飲み会や宴会は、そもそも飲食を共にすることでコミュニケーションを深め、人間関係の円滑化を促進する行為です。現在認識されている一番古い宴会は、約1万2000年前のものだそうです。
料理は野牛や亀の肉らしく、35人分以上の量があったとか。このような宴会を通し、仲間意識を培い、農耕や狩猟を協力して行うようになり、ひとつの社会が形成されていったようです。
現在の企業社会では、人事異動の度の歓迎会や送別会、忘年会や暑気払いなど、様々な宴会が開催されます。多くの企業では福利厚生のためや仕事のマンネリ化防止、人間関係の円滑化の為に開催されることが多いようです。
特に人間関係の円滑化は、飲食を共にすることや、アルコールなどを交えることにより、普段の業務上とは違った意見交換だけでなく、相互理解が深まることにより、人間関係が良好なることも多いそうです。
そんな人間関係の円滑化やコミュニケーションの手段としての飲み会や宴会ですが、最近は負の一面もクローズアップされてきたそうです。どんな一面なのでしょうか?
<飲み会や宴会の負の場面って、どんなもの?>
負の一面で一番多いのは、業務上では見えなかった幻滅するような思考や傾向、悪い癖などを見てしまうこともあり、逆に不信感を持った挙句、業務に支障が出ることも少なくありません。
また、飲み会や宴会は業務時間外に行われることが多い為、プライベートな時間まで会社の環境が入り込むことに、強い違和感や不快感を持つ人(特に若い世代)が最近は多くなっているようです。
更に、日本人は元々他の人種に比べ、アルコールに弱い体質の人が多いそうですが、酒の一気飲みや酒の苦手な人への強要などがある場合があります。
お酒の席は、パワーハラスメントやアルコールハラスメント、セクシャルハラスメントが多発しやすい側面もあり、「酒の席でのことだから、水に流して」とはいかなくなります。節度を持って楽しい酒席にしたいですね。
前置きが長くなりましたので、そろそろ忌中や喪中に飲み会に参加してもよいかどうか、考えていきましょう。
<忌中や喪中に飲み会に参加してもいいの?>
親兄弟や配偶者、子供など、自分にとても近い人が亡くなった際、忌中に「さあ、飲み会に参加しよう!」と思う人は、あまり居ないと思います。
なぜなら、仏教では49日、神道では50日という、身内が亡くなってからの期間は、本当に忙しく、葬儀・告別式・お墓のこと、遺品整理、遺産相続や役所への届け出、保険金の請求など、本当に多忙を極めるからです。
そういった忌中にしなければいけない様々なことを、誰かに丸投げ出来る人でしたら時間はあるでしょうけれど、そうなったらなったで、亡くなった方への想いがこみ上げ、忌中に飲み会に参加すべきかなど、悩むこともないと思うのです。
ただ、近しい身内とはいえ、様々な家庭の事情や家族の形があるので、生前亡くなった方に酷い目にあった方や元々縁が薄い方などは「悲しくもないわ」という方もおられ、「忌中だろうが、飲み会だって行ったっていいじゃない」と思う方もおられると思います。
そうであっても、人が亡くなるということは、「亡くなった人とは、もうこの世で会えない」訳ですから、複雑な思いは多々あるとは思いますが、辛い目にあった方でも「罪を憎んで人を憎まず」との思いで、静かに手を合わせつつ、せめてこの期間だけは弔ってさしあげては如何でしょうか。
長くなりましたが、忌中に飲み会に誘われた場合は、基本的には欠席し、どうしても出席しなければならない場合は、幹事の方に事情を説明の上、一次会で帰るなどの対応をしてみたら宜しいかと思います。
それでは、忌中ではなく喪中に飲み会に誘われた場合は如何でしょう?喪中は約1年と長い訳ですし、亡くなった方もいつまでも遺族が自分の為に悲しんでいる姿を見たくないと思います。
なので、個人的な意見ではありますが、忌中ではなく喪中に飲み会に参加するのは「自分の気持ち次第」だと思います。飲み会に参加したい!と思うこと自体、その人の中では喪は終わっていると思います。
そうであれば、あまりハメを外しすぎることはいけませんが、忌中ではなく喪中に仲間や同僚、好きな人と楽しい飲み会を開くのは良いのではないでしょうか。
亡くなった方の分まで強く生きる義務がある遺族です。残された人が元気に楽しく生きることが、亡くなった方への一番の供養だと思うのですが、これは私の解釈です。皆さんの心の声に従って、判断してみてはいかがでしょう?