忌中や喪中に節分の豆まきをしてもいいの?
日本では、喪中(1年以内に身内を亡くした人)や忌中(仏教では49日、神道では50日以内に身内を亡くした人)の際は、亡くなった方の冥福を祈り、お祝いごとや派手なことを避けて、心静かに暮らす期間であると言われています。
でもこの忌中や喪中に、節分の季節になった場合、やはり「お祝いごと」や「派手なこと」を避ける意味で、節分も自粛したほうが良いのでしょうか?まずは節分とは何かを見つつ、考えてみましょう。
<節分って、そもそもどんな行事?>
節分とは元々、各々の四季の始まりの日(立春・立夏・立秋・立冬)の前日を言います。「季節を分ける=節分」という意味です。江戸時代では特に「立春」の前日を差し、そこから節分=豆まき、ということになったようです。
何故、季節の始まりの日の前日に節分の行事をするかというと、季節の変わり目には邪気(鬼)が生じると考えられており、その邪気を祓うべく、悪霊祓いの行事が行われたそうです。
季節の変わり目は体調を崩しやすいですし、昔は体調を崩すのも悪霊の仕業、と考えられていた為、このような行事になったのも、納得いきますね。ちなみに炒った豆で鬼を祓う行事になったのは、室町時代からと言われています。
何故豆で邪気を払うのでしょう?これは、宇多天皇の時代に、都を荒らす鞍馬山の鬼の目に豆を投げつけ、鬼の目を潰して災厄を逃れたことが由来と言われています。
元来、豆には生命力と厄除けの呪力が備わっているという信仰と「魔目(まめ)」を投げつけて邪気を「魔滅(まめつ)」させる、という語呂合わせから、豆で祓うという意味合いが強まったそうです。
節分の一般的な方法は、「福は内、鬼は外」と声を出しながら福豆(炒り大豆)を撒きつつ邪気を払います。豆撒き終了後、自分の年齢(数え年)の数だけ(或は1つ多く)福豆を食べることにより、厄除けを行う、というものです。
自分の年齢より1つ多く食べるのは、その分体が丈夫になり、その1年風邪をひかないという言い伝えがあるから、だそうです。今まで漫然としていた豆まきも意味を知ると面白いですね。
地方や神社によっては、柊の枝に鰯(いわし)の頭を刺したものを戸口に立てて厄除けをする所もあり、厄除けの方法は様々のようです。
なにはともあれ、節分は邪気を払い、その後の無病息災を祈る、日本の伝統的な儀式だと言えましょう。ということは、忌中や喪中に節分の行事をしても良いのでしょうか?
<忌中や喪中に節分の行事をしてはいけないの?>
さて、上記の由来を考えますと、節分の行事は忌中や喪中では避けるべきお祝いごとではありませんし、派手なことでもありません。
節分はいわば「厄払い」をすることで、新しい年には無病息災であることを祈る、また、良いことを引き込むという風習でありますから、忌中や喪中に節分でお祝いをする、という意味ではありませんよね。
なので、忌中や喪中であれ、厄払いの節分の行事をし、無病息災と来福を祈ることは全く問題ないと言えましょう。是非家族仲良く、豆撒きと豆を食べることで厄払いの節分を楽しみましょう。
とはいえ、喪中はともかく、忌中は節分をするような心の余裕もないことも多いと思います。その際は、節分だからと無理をせず、亡くなった方の冥福を祈りながら静かに過ごすのも、良いかもしれません。
全てに言えることですが、節分であれ、他の行事であれ、忌中や喪中に「やって良いこと」と「やってはいけないこと」を決めるのは、土地の風習もありますが、最終的には自分自身の心次第、なのかもしれませんね。